馬刺しといえば赤身と言われるほど、馬刺しの美味しさが一番よく味わえるのが赤身です。
肉の旨みがぎゅっと詰まっているので、馬肉の魅力をダイレクトに楽しむことができます。
馬刺しでいう赤身とは、どこの部位なのでしょうか?
赤身の部位やカロリー、栄養素について詳しく解説します。
さらに赤身の保存方法や切り方など、美味しく食べるためのポイントも一緒に紹介します。
馬刺しって色鮮やかでキレイですよね~
この赤身が馬刺しの醍醐味だよな
そういえば、赤身ってどこの部分ですか?
おっと、知らなかったのか?赤身は馬刺しの王道だぞ
お願いします!赤身について教えてください!
よし!切り方や食べ方も詳しく説明するから、任せとけ!
馬刺しの赤身について
馬刺しは部位の種類が非常に豊富であり、部位ごとに味が異なります。
馬刺しで赤身として取り扱われる主な部位は、ロース・モモ・クロッド・ヒレ・ランプ・イチボ・ラムの7種類です。
同じ赤身の馬刺しですが、それぞれ特徴が違います。
- ロース 背中のややお尻側の部位。赤身と脂の比率が良いです。霜降りになる場合もありファンが多いです。
- モモ 赤身の定番。赤身の味が力強く出る部位。外モモと、よりやわらかい内モモに分けることができます。
- クロッド 赤身として販売されることが多い馬の上半身の部位。赤身本来の味わいが魅力的です。
- ヒレ 一番やわらかい部位。馬刺しでは厚切りにして楽しめます。
- ランプ モモの中でも肉質の旨味が味わえる最上級部位。薄切りに適しています。
- イチボ お尻のお肉です。サシが入り甘みもある部位です。
- ラム お尻のお肉でイチボよりも、やわらかさが感じられる部位です。
この7種類の赤身に共通しているのは、脂とのバランスがよく、さっぱりと食べられることです。
脂っぽくないのでヘルシーで女性にも人気を集めています。
赤身の部位でも、サシ(霜降り)が入ることがあるので、霜降り具合で味わいが変化するのがポイントです。
サシ(霜降り)とは肉に網目状や点状に入る脂肪分のことを指します。
ただの脂肪のかたまりではなく、赤身と赤身の間に挟まれているものをサシや霜降りというのが特徴です。
肉類の中でも豚肉や鶏肉にはサシは存在しません。
サシが見られるのは和牛や馬肉、羊肉などになります。
サシが入っている肉、特に和牛などは高級なため「サシ(霜降り)=良いお肉」といったイメージを持つ人が多いです。
しかし、一概にサシが入っているから良い肉、美味しい肉だとは限りません。
もちろんサシが入っていることで、やわらかさが出たり脂の甘みが感じられたりといったメリットもあります。
もともと馬肉の脂肪分は牛肉よりも軽さがあるので、サシが入っていてもクドさがなくさっぱりとしています。
しかし、あっさりとした肉質が好みの人の場合には、サシが多く入っている肉は少々しつこいかもしれません。
またサシが入ることで肉本来の弾力が低下するというデメリットもあります。
やわらかく甘みを楽しみたい場合には適度にサシの入った馬刺しの赤身を、肉の持つ旨味や肉質を味わいたい場合にはサシの少ない赤身をチョイスするのがおすすめです。
というわけで、馬刺しではだいたい、この7つの部位を赤身と呼ぶんだ
馬に赤身っていう場所があるわけではないんですね
身が赤ければ、なんでも赤身って呼ぶ人もいるしな
霜降りも、霜降り肉っていう種類だと思ってました。脂の入り方なんですね
網のように脂が入っていれば牛でも馬でも霜降り肉と呼ぶんだぜ
へえー勉強になります!
馬刺しの赤身の栄養素は
馬刺しはヘルシーミートとして注目を集めています。
馬の赤身肉は脂肪分も少なく、さっぱりとした味わいで健康的な印象を受けるのが特徴です。
馬肉は様々な栄養素を豊富に含み、カロリーも低いためダイエットにも適しています。
馬刺し赤身の栄養素
- 脂質が少ない
- 高タンパク質
- カロリーが低い
- 鉄分が豊富
- グリコーゲンが多い
- ビタミンの中ではB12が高い
馬刺しの赤身は、鶏の胸肉に匹敵する脂質の少なさでありながら、タンパク質がしっかり取れるのでダイエットにぴったりです。
ダイエット時にはカロリーをおさえることがセオリーですが、食事のカロリーを制限するとタンパク質不足を起こしやすくなります。
タンパク質が足りないと筋肉量が落ちて基礎代謝も低下してしまい、結果的に太りやすくなるため注意が必要です。
馬肉は100g約110kcalカロリーとローカロリーなので、しっかり食べてもカロリーを控えることにつながります。
さらに鉄分を多く含むため貧血対策としても役立つのもメリットの一つです。
貧血予防に活用される食材として有名なのがレバーですが、レバー特有の匂いや食感が苦手という人も多くいます。
その場合には、臭みやしつこさがなく食べやすい味の馬刺しを試してみるのもおすすめです。
馬肉に豊富なグリコーゲンは疲労回復の効果が期待できる成分です。
馬肉は昔から滋養のある食べ物として重宝されてきました。
馬肉のパワーは世界的にも認められているため、食事に取り入れるアスリートも増加しています。
馬刺しって美味しいから元気でますねー
馬肉は栄養たっぷりだからな。鉄分も摂れるんだぞ
貧血気味の人におすすめしたいです!
カロリーも鶏モモ肉より低いからダイエットにも持ってこいだな!
馬刺しの赤身の保存方法
馬刺しは生食が認められている肉類ですが、冷凍で流通する決まりになっています。
厚生労働省は馬刺しの流通に対して冷凍処理を施すように通知しているからです。
なぜ馬刺しは冷凍処理が必要なのでしょうか?
それは馬刺しの安全性をより高めるためです。
肉類による食中毒は、食中毒の菌や寄生虫が主な原因になります。
もともと馬肉は食中毒の原因となるO-157を保菌していません。
馬は牛や豚よりも体温が高いため、菌が馬の体内で生息することができないのです。
さらに馬肉は寄生虫も少ないのですが、サルコシスティスという寄生虫の可能性はゼロではありません。
サルコシスティスは人間に寄生しない種類ですので、万が一体内に入っても短時間で死滅するのが特徴です。
そのため食中毒の症状が出ても軽く、長引きません。
馬刺しに冷凍処理を施すことで、サルコシスティスによる食中毒を防ぐことができます。
食中毒の原因菌と寄生虫といった2つのリスクが少ないため、馬刺しは安全に生食することができるのです。
馬刺しの保存方法
冷凍された馬刺しは、食べるまで冷凍保存するのが鉄則です。
馬刺しは繊細な食べ物ですので、新鮮さが落ちないように保存しましょう。
お店で冷凍されている馬刺し購入した場合には、保冷バッグや発泡スチロールなどに保冷剤やドライアイスなどと入れ温度が上がらないように持ち帰ります。
帰宅後、すぐに食べない場合や解凍のタイミングが合わない場合には、冷凍庫で保存します。
同様にネット通販で馬刺しを購入した場合には冷凍処理された状態で届くので、食べる時間から逆算して冷凍庫で保存するか解凍作業に入りましょう。
馬刺しの本場である熊本では、馬刺し専門店だけではなくスーパーや精肉店でも馬刺しを購入することができます。
店頭で生で売られている馬刺しも、流通の段階では冷凍処理をされているので安心です。
冷凍で入荷した馬刺しを、それぞれの店舗で解凍しカットなどを行い販売しています。
この場合には、すでに解凍されていますので購入後保冷バッグなどに入れて持ち帰り、できるだけ早く食べてください。
また、一度解凍した馬刺しは再冷凍できません。
再冷凍すると、せっかくの馬刺し の味が大きく損なわれてしまいます。
解凍後は、その日のうちに食べきってしまうのが原則です。
解凍された馬刺しの場合には、冷蔵庫のチルド室で保管します。
チルド室は温度が0度程度に設定されているので、馬刺しの冷蔵保存に最適です。
チルド室がない場合には温度が変化しやすい手前ではなく、冷蔵庫のできるだけ奥で保管してください。
さらに保管中は、できるだけ冷蔵庫内の温度が上昇しないように、無駄な冷蔵庫の開け閉めを避けましょう。
冷凍状態の馬刺しを保管する場合には、冷凍庫で保存をします。
冷凍保存は食品の長期保存が可能ですが、馬刺しの保存期間は1カ月以内が理想であり、長くても3カ月程度に留めましょう。
業務用の冷凍庫の温度は-20℃~-30℃の設定ですが、家庭用冷凍庫はJIS規格で-18℃以下となっています。
そのため家庭用冷凍庫では温度が高いので、冷凍保存であっても早めに食べるのがベストです。
また馬刺しの部位によっても保存可能期間が違いますので、購入先から冷凍保存期間の指示がある場合には、それに準じるようにしましょう。
真空パックされている馬刺しは、パッケージを開封せずにそのまま冷凍します。
また冷凍庫はいっぱいの状態の方が冷気が回って効率よく冷えるので、その点も注意してください。
馬刺しを入れたら、冷凍庫の温度が上がらないように、扉の開け閉めを最小限にとどめます。
庫内の霜も庫内温度のばらつきの原因になりますので、定期的に霜を取り除くなどのメンテナンスを行うのがおすすめです。
馬刺しの解凍方法
馬刺しを美味しく食べるためには、正しい手順で解凍をしましょう。
解凍のコツは、流水で解凍することです。
流水解凍は、短時間での解凍が可能ですので、馬刺しの解凍に向いています。
ボウルに水を張り、馬刺しをパッケージのままつけます。
水道から細く水を出して解凍しますが、馬刺しが水に完全に沈むようにしてください。
馬刺しが水に浮いてしまう時には、お皿などで押さえ浮かないようにしましょう。
馬刺しの大きさにもよりますが、流水開始から5~10分ほどで半解凍状態になります。
完全に解凍してしまうとスライスしにくくなるので、真ん中が少し凍っている状態の方が切りやすくおすすめです。
時間がある場合には、冷蔵庫に移して解凍する方法もあります。
冷凍庫から冷蔵庫に移して3~4時間ほどで半解凍状態になりますが、部位や大きさによっても時間が変わってきますので注意してください。
常温での解凍やレンジでの解凍は、ドリップの原因となり旨味も一緒に流れ出してしまう可能性があるので厳禁です。
特に常温での解凍では、傷んでしまうリスクが高まりますので避けましょう。
注文していた馬刺しが届きました~!
その馬刺し、いつ食べるんだ?
明後日、家族みんなで食べまーす
じゃあ、すぐに冷凍庫だ!
え?冷蔵庫じゃダメですか?
ダメだ。馬刺しを美味しく食べるためには、正しい保存方法と解凍方法を守ることだ
なるほど!しっかり守ります!
馬刺しの赤身の切り方
馬刺しの赤身を美味しく食べるためには、カットの仕方にもこだわりましょう。
カットの仕方で味わいや食感が変わってくるので、スライスの際の注意点などを詳しく紹介します。
まず馬刺しをスライスする際には、生物を取り扱うため衛生面に注意してください。
包丁やまな板といった調理器具は、キレイに洗い消毒しておくと安心です。
また手も清潔に洗い、スライスが終わった時にも十分に手を洗うことを忘れないようにしましょう。
解凍された馬刺しをパッケージから取り出します。
解凍具合は、スライスしやすい半解凍の状態がベストです。
馬刺しをよく見ると肉の繊維がわかると思います。
その繊維に対し包丁が垂直なるようにしてスライスしていくのがポイントです。
繊維を断ち切るようにすることでキレイに切ることができます。
馬刺しの厚さはお好みよって調節しますが、赤身は肉質がやわらかいので3 mm程度が適しています。
あまり薄くスライスしてしまうと食感の良さが損なわれますし、馬肉本来の旨味も堪能しにくいので、ある程度の厚みを持たせるのがおすすめです。
キレイにスライスするためには、包丁をゆっくり引くことを意識すると上手くいきます。
スライスした面が凸凹にならないように気をつけて、できるだけ滑らかな切断面に仕上げると食べた時の舌触りをよくすることが可能です。
ドリップが出た場合にはキッチンペーパーで優しく押さえるようにして取り除きましょう。
馬刺しは鉄分が豊富なため真空パックなどのパッケージから出した直後は、肉が黒っぽいです。
その後、空気に触れることで約10~15分程度で本来の鮮やかな赤色になります。
さらに酸化が進むと、再び色が黒く変色していくので鮮度が落ちないうちに食べましょう。
スライスしたら、お皿に盛り付けていきます。
盛り付けのポイントは、お皿の奥から盛り付けをスタートさせることです。
奥から手前にかけて盛り付けていくことで崩れず見栄え良くすることができます。
その際にスライスオニオンを下に敷き、高低差をつけて立体感を出すのがポイントです。
刺身の添え物には大根のツマが一般的ですが、馬刺しの場合にはスライスオニオンとの相性が良いのでお試しください。
赤身の鮮やかな赤色が引き立つので、大葉を下に引いたり横に添えたりしましょう。
また赤身の隣には、真っ白なタテガミや霜降りの入った部位などを配置すると色の変化が出るのでおすすめです。レモンや食用菊の花も彩りとして使用すると、お皿が華やかになります。
馬刺し、カットできました!
次は盛り付けだな
キレイに並べてっと。んーなんか殺風景ですね
美味しく見えるためには皿の奥側に高さを出して、笹の葉や大葉をアクセントに使うのがポイントなんだぞ
わあ!お店の馬刺しみたいですね!見違えました
料理は見た目も大事だからな。皿や彩りも重要だぞ
馬刺しの赤身の食べ方
馬刺しの赤身を食べる際には、タレや薬味も準備しましょう。
タレや薬味にルールはありませんので、自分のお好みのものを準備すれば大丈夫です。
馬刺しの生産地である熊本では、甘口醤油のタレとスライスオニオン、ショウガ、ニンニクといった組み合わせが定番となっています。
馬刺しの赤身はクセがないので、様々なタレや薬味とマッチするのが特徴です。馬刺し用のタレ以外にも、わさび醤油などで食べる人もいます。
おろしショウガとおろしニンニクも、馬刺しの上に乗せて食べたり、タレや醤油にとかして食べたりとバリエーションが豊富です。
福島の会津も熊本と同じく全国的な馬刺しの産地ですが、会津の場合には馬刺しを辛子味噌で食べるのがスタンダードです。
辛子味噌は、味噌に唐辛子やニンニクを混ぜたもので、ピリッとした辛味が馬刺しに合います。
馬刺しの赤身は、馬肉の中でも肉自体がも持つ味わいを楽しめる部位です。
そのため、馬刺し以外にもカルパッチョなどに用いられることも多いです。
カルパッチョはイタリア料理の前菜で、度々フランス料理のマリネと混同されがちですが、この2つは別の料理になります。
カルパッチョは生の肉類や魚介類にオリーブオイルまたはソースをかけた料理です。
馬肉のカルパッチョは、イタリアの郷土料理としても有名です。
これに対してマリネは食材を酢などを使用した漬け汁に漬け込む料理ですので、新鮮な馬刺しの味を生かすためにはカルパッチョの方が適しています。
お皿の上にスライスオニオンとカイワレ大根、レタスなどを敷き詰め、馬刺しを盛って塩胡椒をふってください。
食べる際にお好みのドレッシングやオリーブオイルをかければ完成です。
馬刺しはさっぱりとした味わいですので、ドレッシングやソースにニンニクを効かせると良く合います。
馬刺しといえば、このタレが美味しいですよね~。馬刺し専用のタレも一緒に買っちゃいました!
馬刺しの赤身はくどさがないからカルパッチョもオススメだぞ
カルパッチョ!サラダ感覚で食べられるし、いいですね!
赤身は馬刺し初心者にもおすすめ!
馬刺しにはいくつも種類があり、それぞれの部位やサシの入り方で味わいが異なります。
特に馬刺しの赤身は肉の旨みがストレートに味わえますし、適度な歯ごたえも楽しめるのでおすすめです。
薬味やタレのバリエーションも多く、カルパッチョなどのアレンジも人気を集めています。